2022年11月09日

使用済み燃料プール火災の恐怖──空冷式乾式貯蔵の迅速導入を

2011年3月11日の東日本大震災と津波で起きた事故のため、福島第一原発4号機のプールは、もう少しのところでプール火災が起きて、風向きによっては、約3000万人の避難が必要な事態に至るところでした。以下に掲載するパワポ資料は、次のような事実を改めて想起するためのものです。

  • 4号機のプールには、炉心での工事のために地震の直前に炉心から取り出したばかりの熱い燃料が保管されていた
  • プール火災を免れたのは、原子炉の上に位置する原子炉ウェルの水がプールに流れ込んだためだった
  • ウェルは、本来なら原子炉内の工事のために空になっているはずだった
  • たまたま、工事の遅れのためにウエルが水で満たされていたという幸運に恵まれたため、プール火災・大量の放射性物質の拡散が避けられたのだった。

そして、大規模なプール火災を防止するために、プールで5年以上保管した使用済み燃料を、自然対流利用の空冷式乾式貯蔵に移すことを提唱しています。

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2022年10月18日

日本のお手本、フランスの再処理体制が崩壊の危機に加筆のお知らせ

ラアーグ再処理工場のプールの満杯状況に関する追加情報を「追記」として入れるとともに、地図・解説図(3点)と、メロックス工場の「MOX燃料生産量推移」グラフを挿入しました。

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2022年09月28日

不思議なNPT再検討会議関連報道──「唯一の被爆国による橋渡し」の幻想が招く思考停止?

米国ニューヨークの国連本部で8月1日から26日まで、開催された第10回核不拡散条約(NPT)再検討会議は、合意文書を採択できないまま幕を閉じました。一つの焦点は、核攻撃を受けていないのに核兵器を先に使うことはしないとする「先制不使用」宣言を巡るものでした。「先制不使用」宣言を核保有国に求めるとの文言が草案に入ったものの、米国などの反対でこれが削除されたと各紙で報じられました。米国が先制不使用宣言をすると──核以外の攻撃に対するものも含め──抑止力が弱まると日本など同盟国が憂慮しているということが背景にあり、米国がこれに配慮したという内容です。

ところが、NPT再検討会議に関する総論的な記事では、どういうわけか、米国による「先制不使用」宣言に日本が反対してきたという事実が抜け落ちる傾向があるようです。総論の記事となると、「唯一の被爆国」の政府は核廃絶を真に願っており、その早期実現を目指しているはずだとの想定が存在していて、実際の政策の検証を行うことなく、最初からその想定にしたがって記事が書かれることになっているのでしょうか。広島選出の首相と首相補佐官が登場すると特にそうなるのでしょうか。政府広報かと錯覚させるような内容のものが散見されます。

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2022年09月08日

日本のお手本、フランスの再処理体制が崩壊の危機

日本の再処理政策のお手本の国フランスで、再処理政策中止の可能性を規制当局が口にする事態となっています。ラアーグ再処理施設の使用済み燃料貯蔵プールが満杯になる時期が2030年のはずだったのが、2028年以前、場合によっては2024年になる可能性が出てきているといいます。一方、満杯事態に備えて同施設内にフランス電力(EDF)が建設を計画している大規模な集中型貯蔵プールの完成予定時期が2030年のはずだったのが2034年以降に延期されています。二つの時期にギャップが生じているのです。

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2022年08月31日

中・独核共有論争──「戦争が始まればNPTは失効」とのNATO解釈巡り
NATO解釈をいつ知ったか、支持するか──答えない日本政府

先週金曜(2022年8月26日)まで開かれていた第10回「核拡散防止条約(NPT)」再検討会議で「北大西洋条約機構(NATO)」における核共有体制について、中国とドイツが議論を戦わせた。故安倍晋三元首相が2月27日、ロシアによるウクライナ侵攻を背景に、日本も核共有の導入を検討すべきと発言したことが大きな議論を呼んだ割には、日本では注目されていないようだ。その背景には、日本導入の是非以前に、NATOの核共有を日本政府がどうみなしているかを重要視した論点が当時欠けていたことがあるのだろう。

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2022年08月04日

高速炉計画──再処理に反対するビル・ゲイツがもんじゅ関連機関・企業と協力?

今年の元日の読売新聞が「米高速炉計画に日本参加へ──『もんじゅ』の技術共有、国内建設にも活用」 と報じて話題を呼びました。著名な米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が設立した米テラパワー社の高速炉建設計画への参加ということで、特に関心が高まったようです。もんじゅの地元の福井新聞は「もんじゅの廃炉で地元自治体や住民の期待は一度裏切られたものの『ポストもんじゅ』をにらみ、再期待感が膨らみ始めている」と報じました 。

しかし、テラパワー社は、元々、再処理を必要としないから核不拡散に役立つというはずの特殊な原子炉を開発するために設立された企業です。その炉の開発に失敗した後に登場したのが、今回の日米協力の対象となった高速炉「ナトリウム」ですが、同社はこちらも再処理を必要とせず、核拡散のリスクを制限する炉だと説明しています。ここでは、「再処理批判」のビル・ゲイツと、再処理推進の日本の機関・企業の協力という奇妙な呉越同舟状況について検討してみましょう。

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2022年06月20日

世界の核兵器の状況 2022年

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が2022年6月13日に、冷戦後続いた核兵器の減少が終り、増加に転じるだろうと警鐘を鳴らす報告(Global nuclear arsenals are expected to grow as states continue to modernize - New SIPRI Yearbook out now)を発表して話題を呼んだ。ここに掲載するのは、その基になったデータ。著者らの承諾を得て全文訳出。

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2022年06月02日

繰り返し語られる核共有の幻想と実体

安倍晋三元首相が2月27日にフジテレビの番組で、ロシアによるウクライナ侵攻を背景に、日本も米国の核兵器の「核共有」導入を検討すべきと発言したことをきっかけに、「核共有」についての議論が起きています。核情報では、これまで、何度か核共有について取り上げてきましたが、ここでは、それらの記事の内容にも触れながら、今回の議論とその背景について簡単にまとめてみましょう。

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2022年03月14日

「核共有」NATO 4カ国60発──魅せられる安倍元首相?

 安倍晋三元首相が2月27日のテレビ番組で、日本も「核共有」の議論が必要と発言して話題を呼んでいます。「核共有」というのは、米国と欧州の「北大西洋条約機構(NATO)」加盟国が冷戦時代以来とっている体制です。「米科学者連合(FAS)」の核問題専門家ハンス・クリステンセン氏によると、現在、ベルギー、ドイツ、イタリア、オランダの4カ国に配備されているそれぞれ15発ずつの米国の核爆弾、計60発が共有状態にあります。米国がNATO諸国に配備している核爆弾は、5か国6基地に約100発ありますが、そのうち、イタリアのアビアノ基地配備の20発は米軍機用であり、トルコ配備の20発の投下用に割り当てられたトルコ機はなく、米軍の投下用航空機も常駐とはなっていません。

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2022年02月18日

プルトニウム削減へ電力間融通の報道―懸念は払拭できるか?

2月16日、東奥日報が「電事連、プルトニウム削減へ電力間融通」と報じました。「電気事業連合会(電事連)は、電力各社が英仏に保管しているプルトニウムの消費に向け、各社間で融通し合い総量を削減する方向で調整」していて、「電事連は近く融通案を公表する」とのことです。電事連が昨年2月に公表していた英仏保管のプルトニウムの「名義交換」方針が具体化してきたということのようです。

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2021年11月12日

プルトニウム
 ──原子力の夢の燃料が悪夢に

フランク・フォンヒッペル 田窪雅文 カン・ジョンミン(姜政敏)(田窪雅文訳)緑風出版

専門誌などで高い評価を得た原著の改訂・翻訳版

夢の燃料として喧伝されたプルトニウムの利用計画が、実は見果てぬ夢であり、核拡散・テロの危険を引き起こすだけの「悪夢」となっている状況を説明。日本が、核兵器6000発分近いプルトニウムをため込んでしまっている状況を描く。解決策として、再処理を中止し、5年以上プールで冷やした使用済み燃料を空冷式の乾式貯蔵に移し、最終処分まで中間貯蔵することを提案。

原著序文はモハメッド・エルバラダイ元国際原子力機関(IAEA)事務局長

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2021年11月07日

米国家安全保障会議(NSC)で核兵器の存在理由説明の変更検討──日本など同盟国「懸念」表明と報道

ワシントンポスト紙は、11月2日、「バイデン政権、米国の核兵器の存在理由説明の変更検討」(原文)において、「ホワイトハウスは、今月、米国の核兵器の唯一の目的は、核攻撃を抑止するかこれに報復することだと宣言するか否かについての議論をするための会合(複数)を計画している」と報じました。国家安全保障会議(NSC)におけるこれらの会合は、来年初頭までに新しい核兵器政策を打ち出すため広い取組の一部だとのことです。バイデン政権では、核兵器の役割の説明を含む「核態勢の見直し」と「国防戦略」の策定が並行して行われています。

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2021年10月05日

過密貯蔵が進む日本の原発と乾式貯蔵

日本の原発の使用済み燃料プールは、元々、1~2炉心分程度しか収納できない設計になっていました(1炉心分というのは、原子炉の炉心部に収容できる核燃料全体に相当する量のことです)。使用済み燃料は数年プールで冷やした後、再処理工場に送られることが想定されていたからです。しかし、再処理計画が想定通り進んでいないため、使用済み燃料は、元々の想定の何倍もの密度で貯蔵されています。

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2021年09月09日

被爆者、核問題専門家ら公開書簡──米の先制不使用に反対しないで

9月7日、広島・長崎の被爆者団体や核問題関連団体など22団体と個人44人(呼びかけ5団体・5人、賛同17団体・39人)が、与野党党首に、先制不使用宣言に反対しないよう要請する公開書簡を送りました。これは、8月9日に米国の核問題専門家・団体など(21人・5団体)が、日本与野党党首宛に先制不使用宣言に反対しないよう求める公開書簡を送ったのを受けてのことです。

 今回の書簡は、米国からの書簡の背景・意味を説明し、米側書簡と同じく、次の2点を要請しています。

  • バイデン政権が先制不使用・唯一の目的政策を宣言することに反対をしないと明言すること
  • このような政策が日本の核武装の可能性を高めることはないと確約すること。

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2021年08月10日

先制不使用宣言に反対しないで──米国の核問題専門家ら日本の政党党首に公開書簡

長崎原爆投下76周年を迎えた8月9日、米国の核問題専門家らが日本の政党党首に対し、米国の核政策に関する公開書簡を送りました。書簡に署名したのは、ウイリアム・ペリー元国防長官ら21人と、「米科学者連合(FAS)」、「憂慮する科学者同盟(UCS)」、草の根反核平和団体「ピースアクション」など5つの団体です。(核情報からマスコミに発表した際に集計ミスがありました。お詫びして訂正いたします。)

内容は、「米国は先には核を使わない」、「米国の核兵器の唯一の目的は他国による核攻撃を抑止し、必要とあれば報復することにある」とバイデン政権が宣言することに反対しないで、と要請するものです。そして、米国がそう宣言しても日本が核武装することはないと確約することを求めています。

原爆投下した国の専門家が被爆国日本の政党になぜそんな要請を? と思われる方、ぜひ、書簡をご覧ください。連立政権の自公両党が、そして野党が、どんな反応をするのか? 注目されるところです。

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2021年05月12日

茂木外相 米が先制不使用宣言だと日本の安全保障を保てない─岡田議員 核攻撃なら撃ち返すで十分では?

茂木敏充外相は、4月21日、衆議院外務委員会で、立憲民主党の岡田克也議員(元外相)の米国の先制不使用宣言に関する質問に答え、宣言がなされると日本の安全保障が保てないと述べました。先制不使用宣言は、すべての核兵器国による検証可能な宣言(条約)でなければ機能しないから、反対だとの主張です。実際には、米国で議論されているのは、米国による一方的宣言であり、敵国の核先制使用は、米国側の核報復の威嚇で抑止する考えです。以下、これまで踏襲されてきた1999年8月6日の高村大臣答弁の一部を切り取って使用した茂木答弁の矛盾について見てみましょう。

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2021年05月04日

再処理と原子力発電を混同?「ごみの行先を決めないとやめるとは言えない」と枝野立憲民主代表

枝野立憲民主党代表が、西日本新聞のインタビューで、使用済み燃料の「行先を決めないと」原発を「やめるとは言えない」と主張し、波紋を呼んでいます。その「論理」展開は、再処理がやめられない理由として挙げられてきたものを想起させます。枝野代表は、再処理継続が必要との「論理」と原発継続が必要との「論理」を混同してしまったのでしょうか。ここでは、即時原発停止の主張の妥当性や国民民主党との合併が立憲民主党の原発政策に与えた影響などの話は置いておいて、この「混同」の可能性に焦点を当てて検討してみましょう。これは、再処理・核燃料サイクル政策について、原発容認・推進派と反対派の双方を巻き込んだ国民的議論を進める上でも重要な作業です。

青森県六ケ所村の再処理工場では、2023年度に使用済み燃料のせん断を伴う再処理過程を始める計画になっています。残された時間はあまりありません。

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2021年04月15日

「世界の核兵器の状況2021」掲載のお知らせ

核情報では、米科学者連合(FAS)のサイトにある「世界の核兵器の状況」のデータを継続的に紹介してきていますが、今回は、FASの承諾を得て2021年3月更新のページ全体を訳出しました。

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2021年04月07日

プルトニウム利用の「夢」の開陳で再処理政策の正当化を図る電事連

電気事業連合会は、2月26日、再処理で取り出したプルトニウムの「利用計画」(以下、新利用計画)を発表するとともに、英仏で保管されているプルトニウムについて、電力各社間で「名義交換」を行うことによって消費を推進する案を検討中であることを明らかにしました。計画とは名ばかりで、実際は、2030年度までに、フル稼働となった六ヶ所再処理工場での毎年の生産分を全量消費できるようなMOX利用炉運転態勢を目指して頑張るとの決意表明をしただけのものとなっています。

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2021年02月12日

日本は米国に先制不使用宣言を要請すべきとハルペリン元米政府高官

──ペリー元国防長官も新著で日本に先制不使用支持を呼びかけ

大統領選挙キャンペーンで、紛争において核を最初に使わないとの「先制(先行)不使用宣言」支持を表明していたバイデン氏が1月20日大統領に就任しました。バイデン政権では、先制不使用宣言が検討されると見られています。クリントン政権とオバマ政権が先制不使用宣言を検討しながら放棄した主要な理由は日本を含む同盟国の反対の声でした。

過去のこれら両政権内での検討の事情に精通するモートン・ハルペリン元国務省政策企画本部長(1998-2001年)が、日本は米国政府に先制不使用政策を採用するよう呼びかけるべきだと強調しています(2021年1月6日の核情報へのメール。以下『日本への提言』)。理由は同盟国が賛成すれば、米国は先制不使用を宣言できるからということです。

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