核情報

2002.11.15

小型核・地中貫通型核──2003年度予算の攻防の結論

 ワシントンで議会の動きを追いかけているデイビッド・カルプから、「米国議会で核兵器に関する部分的勝利」というメールが送られてきました。

 11月13日、米国議会が、 (1.) 「小型核」開発の禁止条項は存続させるが、 (2.) 「堅固な地中貫通型核兵器」(バンカーバスター)のフィージビリティー・スタディーについては、条件付きながら1500万ドルの予算を認めるという内容の法案を通過させたというものです。

 この二つの案件については、上下両院が異なる決定を下し、上下両院協議会で話し合われることになっていましたが、それが延び延びになり、中間選挙後の議会でやっと結論がでたというものです。問題の国防歳出権限法(H.R.4546)は、国防省と、エネルギー省の国防部分(核兵器開発など)とに関するものです。

  1. 米国では、93年以来、5キロトン以下の新型小型核の開発は禁止されています。(広島は15キロトン)。毎年、その条項を葬るか、骨抜きにしようとする動きが議会で続いています。今年は、下院で小型核の研究の開始を許す条項を盛り込んだ法案が通過していたのですが、最終的に通過した法案では、この部分が削除され、小型核開発は禁止されたままとなりました。(この場合の小型というのは威力が小さいという意味です。)
  2. 「堅固な地中貫通型核兵器(RNEP)」については、3年計画の初年度分1500万ドルが認められました。ただし、RNEPの必要性やなどについての報告書がでるまでは、この予算は使えないことになっています。また、米国科学アカデミーが、このような兵器が使われた場合に一般市民に及ぶ影響についての報告を議会に出すことになっています。ですから、現実的には、来年の議会にこの案件は持ち越しということになります。

 小型核と地中貫通型は混同して議論されがちですが、地中貫通型には、低威力のものと高威力のものがあり得て、 (1.) にあるように前者の研究開発は禁止されています。また、高威力のものについても、現在議論されているのは、フィージビリティースタディーであって、実際の開発はその次の段階です。だから、イラクですぐに使用するために現在開発が進められていることではありません。

 米国の運動と協力して、新型核の開発を許さない闘いを進める必要があります。

参考:新型核の解説


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