米国国防省ブリーフィング資料(2010年4月6日)(英文, pdf) 核情報訳
2010年NPRの意味
- 米国の核政策・態勢に関する3度目の包括的見直し
- これまでの見直しは、1994年と2001年
- 国防省が国務省及びエネルギー省との緊密な協議の下に実施
- QDR(英文)とBMDR(英文)(2010年2月1日発表)を発展させたもの
- 全過程を通して議会及び同盟国との緊密な協議
核の危険を減らすための大統領のアジェンダを実施するためのロードマップ
変化した安全保障環境への適応
- 最も緊急の危険に焦点:核拡散と核テロリズム
- 核兵器の取得と使用を追求する多国籍テロリスト・グループ
- 国際社会を無視して核兵器を追求する国家
- 地域的侵攻に対する抑止力を高めるために地域的安全保障構造を強化し、同盟国・パートナーに対しその防衛についての米国のコミットメントを再保証する
- ロシア及び中国との戦略的安定性を強化する
- 米ロは、まだ、安定的抑止に必要とされる以上の核兵器を保有している
「冷戦的思考に終止符を打つ」
NPRの政策枠組み
- 核拡散及び核テロリズムの防止
- 核兵器の役割の低減
- 削減された核戦力レベルにおける戦略的抑止と安定性の維持
- 地域的抑止の強化と米国の同盟国・パートナーに対する再保証
- 安全でセキュリティーの確保された効果的核兵器の維持
核拡散と核テロリズムの防止──主要イニシアチブ
- 核不拡散体制の強化のための国際的努力をリードする
- IAEAの保障措置を強化し、遵守措置を講じる
- エネルギー省の不拡散プログラムを25パーセント増額する(27億ドルに)
- 世界のすべての奪取対象となりやすい核物質のセキュリティーを4年以内に確保する
- 核物質の密輸を発見し阻止する能力を高める
- 第6条を含めNPTの義務を果たすとの米国のコミットメントを再確認する
- 新START、包括的核実験禁止条約(CTBT)、核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)
- 検証に関する包括的な研究・開発プログラム
- 米国のコミットメントを新たにする:「WMDを取得あるいは使用するためのテロリストの企てを支援あるいは可能とするいかなる国家、テロリスト・グループ、非国家アクターも、その責任を完全にとらせる」
核兵器の役割の低減
米国の宣言政策
- 米国の「消極的安全保証」の強化
- 「米国は、NPTに加盟し、その不拡散の義務を遵守している非核兵器国に対して核兵器を使ったり、使うとの威嚇をしたりしない。」
- これらの国が、米国またはその同盟国・パートナーに対してCBWを使用した場合には、通常兵器による壊滅的な報復に直面することになる。
- 生物兵器の脅威が高まった場合には、米国は、この保証をそれに合わせる権利を留保する。
- 米国は、米国またはその同盟国及びパートナーの死活的国益を防御する極端な状況の下でのみ核兵器を使用する
- これらの国々の場合には、通常兵器あるいはCBWの攻撃を抑止する上で米国の核兵器が役割を果たす可能性のある状況が狭い範囲で残る。
- 米国の核兵器の基本的役割(fundamental role)は、米国、同盟国、パートナーに対する核攻撃を抑止することにある。
- 米国あるいは同盟国・パートナーに対する核攻撃の抑止を米国の核兵器の唯一の目的とすることを目標とし、通常兵器能力の強化と、非核兵器による攻撃を抑止する上での核兵器の役割の低減とを続ける。
核不拡散の義務を遵守している非核兵器国については:
核兵器国と非遵守国については:
核兵器が存在する限り
低減された核戦力レベルにおける戦略的抑止と安定性の維持
- 新START:重要な次のステップ
- 条約の上限
- 計算対象の戦略核弾頭 1550(SORTの30%減)
- 配備戦略運搬手段 700
- 配備及び非配備戦略発射装置 800(STARTTの50%減)
- 新STARTの下での核トライアド(3本柱)を維持する
- ICBMをDe-MIRV(単弾頭化)する──危機状況での安定性を強化するため
- 米国のミサイル防衛あるいは長距離通常弾頭攻撃能力を制限しない
- 核危機の際の大統領の決定時間を最大にするために、米国の指揮・管理システムに新たな投資をする
- より安定的で透明な戦略関係を推進するためにロシア及び中国とのハイレベル対話を追求する
地域的抑止の強化と米国の同盟国・パートナーに対する再保証
- 地域的抑止の強化のために同盟国・パートナーとの協働にコミットする米国
- 通常兵器能力の強化、地域ミサイル防衛の配備、対WMD能力改善の継続
- 米軍及び同盟国に対する核脅威が存在する限り、主要な地域的安全保障構造は、核の構成要素を維持
- 戦術戦闘・重爆撃機への米国の核兵器の前進配備能力を維持
- B61核爆弾の全面的寿命延長を遂行
- 核弾頭型海上発射巡航ミサイル(TLAM-N)の退役
- 米国の拡大抑止の信頼性と有効性を保証するため同盟国・パートナーとの緊密な協議を継続
安全でセキュリティーの確保された効果的核兵器の維持
- 米国核兵器管理原則
- 核実験をしない──CTBTの批准の追求
- 新しい核弾頭を作らない:寿命延長プログラム(LEP)は、以前に実験を行った設計のみを使い、新しい軍事的ミッションを支援したり、新しい軍事的能力を提供したりしない。
- 核弾頭維持オプションについて、すべてのLEPアプローチを考慮し、ケースバイケースで研究する
- 改修あるいは再利用を強く選好。核部分の取り替えは、大統領の特別の許可を必要とする
- 核兵器関連施設群への投資を増額
- 老朽化するインフラ問題に対処
- 科学・技術・工学を支援
- 国防省及びエネルギー省の主要な人的資本のリクルートと維持
- 核ミッションに対する指導部の傾注の継続
将来を見据える
核のない世界に向けて
- 核拡散と核テロリズムへの焦点を維持
- 非核抑止能力への依存を拡大しつつ、地域的安全保障構造の強化
- 新STARTの批准及び発効の後、大幅なさらなる核戦力削減の達成を目指した交渉をロシアと実施
- ロシアとのさらなる削減に続き、世界のすべての核兵器に制限を加え、削減し、最終的には無くしてしまうための多国間の努力に他の核兵器国を少しずつ巻き込む。
- 核兵器が存在する限り、安全でセキュリティーの確保された効果的核兵器の維持