核情報

2006.5.1

IAEA事務局長イラン報告(2006年4月28日)

4月28日、国際原子力機関(IAEA)事務局長がイランの核開発問題についての報告書を同理事会と国連安全保障理事会に提出しました。これは、IAEA事務局長に30日以内の報告書提出を義務づけた3月29日の安保理議長声明に基づくものです。報告書は、濃縮活動を停止することを要求した議長声明をイランが無視していることを確認するとともに、イランの核開発計画が平和利用だけを目的とするものだとの確証が得られないとする一方、軍事用とも言い切れないとする内容となっています。そして、平和利用だけという確証を持たせるようにするにはイランはもっと積極的に透明性を高める必要があると述べています。これを受けて、拘束力のある決議を安保理で上げる動きが活発化しています。報告書は、これまでの経過や現状について理解をするのに便利な文章ですので、粗訳を試みました。

参考:

IAEA(国際原子力機関)

理事会

原文(pdf)

Gov/2006/27

2006年4月28日

配布制限

原語:英語

公用のみ

イラン・イスラム共和国とのNPT保障措置協定の実施状態

事務局長報告

    1.2006年2月4日、理事会は、決議(Gov/2006/14)を採択し、その第1パラグラフにおいて、とりわけ、次のことを強調した──イラン・イスラム共和国とのNPT保障措置協定の実施に関する未解決の問題を解決し、イランの核計画が平和的性格だけのものだとの信頼を創出する最良の方法は、イランが信頼醸成措置についての理事会の要請に対し積極的に応じることである。この文脈において、理事会は、イランが次のことをするのが必要だと見なした。

    • 研究開発を含め、濃縮に関連した活動及び再処理活動すべての完全かつ持続的停止を再確立し、IAEAが検証できるようにすること。
    • 重水減速の研究炉の建設を再検討すること。
    • 追加議定書を批准し、完全に実施すること。
    • 批准までの間、イランが2003年に署名した追加議定書の規定に従って行動すること。
    • Gov/2005/67などで事務局長が要請した透明化措置を実施すること──それは、保障措置及び追加的議定書の正式な規定だけにとどまるものではなく、IAEAがその継続中の調査のために要請する個人、購入に関わる文書、二重用途機器、一部の軍所有の作業場、研究開発などへのアクセスを含む。

    2.上の決議の第2パラグラフにおいて、理事会は、事務局長に対し、決議の第1パラグラフにおいて述べられている措置は理事会がイランに要求したものであることを国連安全保障理事会に報告するとともに、この問題に関し採択されたすべてのIAEA報告書及び決議を安全保障理事会に報告するよう要請した。Gov/2006/14の第8パラグラフにおいて、理事会は、また、事務局長に対し、同決議及び以前の決議の実施について、理事会の次回定期会合において、その検討のために提出し、その後直ちに、3月理事会の他の決議とともに、同報告を安全保障理事会に伝えるよう要請した。

    3.事務局長の報告(GOV/2006/15)の受領後、安全保障理事会議長は、安全保障理事会を代表して声明(Gov/INF/2006/7に再録)を出し、その中で、とりわけ、イランに対し、理事会が要求した措置──特にイランの核計画が平和的性格だけのものだとの信頼を創出し、未解決の問題を解決するために不可欠であるその決議GOV/2006/14の本文第1パラグラフのもの──を講じるようよう求め、この点について、研究開発を含め、濃縮に関連した活動及び再処理活動すべての完全かつ持続的停止を再確立し、IAEAが検証できるようにすることの特別の重要性を強調した。安全保障理事会は、理事会の要求している措置のイランによる遵守プロセスについての報告書を事務局長が30日以内に理事会へ、また同時に、安全保障理事会へ、その検討のために提出するよう要請した。

    4.本報告は、理事会へ、そして、同時に、安全保障理事会に提出されている。本報告は、イランの安全保障措置の実施において2006年3月以降生じた展開について、理事会が要求した信頼醸成措置のイランによる実施に関するIAEAの検証について、また、イランの安全保障措置の実施に関連したIAEAの全般的評価についての新しい情報を提供するものである。

    A. 2006年3月以降の展開

    5.2006年4月13日、イランの招待により、事務局長とIAEAのチームはテヘランにおいて、イランの原子力庁(AEOI)長官、イラン最高安全保障委員会事務局長、その他のイラン政府関係者と会った。イランの申告の正確さと完全さの検証に関する問題について議論するためである。事務局長は、イランに対し、未解決の検証問題についてIAEAとの協力を大幅に加速するよう求め、理事会の要求している信頼醸成措置をイランが実施することの重要性を強調した。

    6.2006年4月27日、事務局長は、イランから、同日付けの書簡を受け取った。同書簡は、その中で、とりわけ、次のように述べた。

    1. イラン・イスラム共和国は、過去3年間、NPTの包括的保障措置、追加的議定書に従い、そして、批准されたかのように自主的に実施された追加的議定書を越えてさえ、IAEAに完全に協力してきた。
    2. イラン・イスラム共和国は、過去3年間、約2000人・日の査察の過程において核施設への完全で無制限のアクセスを認めてきた。
    3. すべての核施設及び活動は、IAEAの安全保障措置の下にある。
    4. 核物質は、IAEAに申告されており、確認されている。
    5. イラン・イスラム共和国は、NPT及び包括的保障措置協定(INFCIRC/153)の義務を完全に守る所存である。
    6. イラン・イスラム共和国は、イランの核書類が、完全に、IAEAの枠組みの中に、そして、その保障措置の下にとどまる限り、包括的保障措置に従ったIAEAの査察を認め続ける用意が完全にあり、また、イラン・イスラム共和国は、2006年2月27日の[事務局長]報告書Gov/2006/15に反映されている残存の未解決問題を、国際法及び規範に従い、解決する用意がある。この点に関して、イランは、向こう3週間以内にタイムテーブルを提供する。

    A.1.濃縮プログラム

    7.2006年2月27日の事務局長の報告書Gov/2006/15で述べられているとおり、IAEAは、イランに対し、その濃縮プログラムに関連したいくつかの問題について追加的情報を提供するよう繰り返し求めてきた。イランは、Gov/2006/15の第6パラグラフで触れられているテヘランにおける2006年2月12−14日の会合で、これらの問題について議論するのを拒否した。その理由は、イランの見解では、これらは、保障措置協定の範囲内のものではないというものである。イランは、この立場を、2006年4月8日にテヘランでIAEAの査察官らとの間で設けられた会合において再度主張した。IAEAは、これらの問題を解決することが肝要であると主張した──IAEAがイランの申告の正しさと完全さを、とりわけ、20年間の秘密の活動に照らして、検証できるようにするためである。これらの未解決の問題の現在の状況は次の通りである。

    A.1.1.汚染

    8.IAEAの今日までの分析結果は、遠心分離器部品が製造され、使用・貯蔵されたとイランが申告した場所において発見された高濃縮ウラン(HEU)汚染のほとんどに関するイランの外国起源説を、だいたいにおいて、支持する傾向にあるが、IAEAは、これらの場所で発見された低濃縮ウラン粒子及び一部のHEU粒子の(諸)ソースについての調査を続けいてる(2)。

    9.汚染のすべての起源について決定的な結論を得ることは難しいであろうから、イランの遠心分離濃縮プログラムの範囲及び時系列の確認に関して進展を達成することがIAEAにとって不可欠である。IAEAが、イランにおいて未申告の核物質及び活動がないことについて必要な保障を提供するとができるようになるには、追加的議定書の実施と、この点に関するイランの完全な協力が不可欠である。

    A.1.2.P−1遠心分離技術の取得

    10.これまでの報告書で述べられているとおり、IAEAは、外国の仲介者が1987年にイランに対し提示したとされるオファーを反映した1ページの手書きの文書のコピーを2005年1月に見せられた(3)。しかし、イランは、文書のコピーを求めるIAEAの要請を拒否し続けている。

    11.先に報告されたとおり、イランによると、1987年から1993年半ばにかけての──後の1990年代半ばのオファーに至った話し合いが始められたとされる──期間、ネットワークとのコンタクトはなかったという(4)。1990年代半ばのオファーに至る事象に関するイラン及びネットワーク主要メンバーによるステートメントは、未だ、互いに矛盾している。イランは、この点についてさらに説明を提供しなければいけない。イランは、また、1990年代半ばにおける500組のP−1遠心分離器部品の取得に至った会合について文書もその他の情報も提供できないと述べている。IAEAは、これらの部品の輸送の期日及び中身についての説明を待っている。

    A.1.3 P−2遠心分離技術の取得

    12.事務局長のこれまでの報告に反映されているとおり、イランは、1995年にP−2部品の設計図を受け取った後、P−2遠心分離器の作業を2002年まで行っておらず、また、この中間期間においては、仲介者らとP−2遠心分離器の設計、あるいは、P−2遠心分離器の部品の提供の可能性について一度も議論していないと未だ主張している(5)。イランは、また、1995年以後、遠心分離器部品の納付はなかったと主張し続けている。

    13.2002年初めから2003年7月の間に、請負契約会社によって実施された改善型P−2の設計に関する研究・開発(R&D)に関し、イランは、契約社がP−2遠心分離器設計に適した磁石について照会を行い、購入したことを確認した。2006年2月、イランは、イランが受け取ったP−2用磁石のタイプについて幾分かの追加的説明を提供したが、小数の磁石だけが納付されたと主張した。IAEAはこの件についてまだ調査を行っている。

    14.2006年4月半ば、イランによるP−2のR&Dと試験に関するイラン高官のステートメントに関する報道がいくつかあった。IAEAは、イランに、これらのステートメントについて説明するよう求めている。

    A.2.ウラン金属

    15.上の第10パラグラフで触れられた1ページの文書におけるイランの再転換及び鋳造能力への言及は、イランがIAEAに示した──少量のUF6のウラン金属への還元と、濃縮ウラン及び劣化ウラン金属の半球への鋳造の方法を記述した──15ページの文書の存在に照らして、より重要な意味合いを持つようになった(6)。

    16.これまでに報告されたとおり、後者の文書の実際の使用について、あるいは、それがいつ受け取られたについて示すものは何もないが、イランにおけるその存在は憂慮される事態である。IAEAは、仲介者がこの文書を、そして他の同様の文書類を持っていることを知っている。IAEAは、これらを他の複数のメンバー国で見ている。従って、1987年にネットワークが提示したオファーの全体像について理解し、このオファーに関連してイランが何を、そしていつ取得したかをIAEAが確認することができるようになることが不可欠である。そのためには、これらの問題についてIAEAがさらにフォローアップできるように15ページの文書のコピーをIAEAが入手することが必要である。

    A.3.プルトニウム実験

    17.先に述べたように、IAEAは、わずかな(ミリグラム)量のプルトニウムの分離を伴う実験に関してイランが提供した情報についてフォローアップを続けている(7)。2006年2月15日にイランのさらなる説明を受け、IAEAの以前の調査結果を確認する追加的サンプル分析の結果を得た後、IAEAは、イランに対し、2006年3月30日に、この問題についての全体的分析の最新の要約を提供した。2006年4月10日、IAEAは、この分析において示された矛盾に関してさらなる説明を求めるためにイラン政府関係者と会った。会合の後、2006年4月17日付の書簡において、イランは、矛盾についてのその以前の説明を再確認した。IAEAの調査結果に照らして、IAEAは──イランが提供した説明にかかわらず──IAEAが分析したプルトニウムが、イランの申告した諸ソース以外のソース(複数の可能性)から得られたものである可能性を除外できない。

    A.4 重水研究炉

    18. 2006年4月22日、IAEAは、設計情報検証を行うため、アラクのイラン核研究炉(IRー40)を訪問し、土木工事がまだ続行中であることを確認した。

    A.5 他の実施問題

    19.イランのウラン採掘活動に関しては報告すべき新しい展開は何もない。

    20.プルトニウムに関連したイランの実験に関しても報告すべき新しい展開はない(9)。

    21.2006年4月9−11日、IAEAは、エスファハンのウラン転換工場(UCF)とナタンツのパイロット燃料濃縮工場(PFEP)で実施されるルーチーンの保障措置上の措置についてイランと話し合った。完全に実施されれば、IAEAの提案した措置は、同機関がこれらの施設のための保障措置目的のすべてを満たすことを可能にするだろう。ほとんどの措置について合意が得られたが、イランは、暗号化された保障措置データのウイーンのIAEA本部への遠隔転送について態度を保留している。

    22.2006年4月11日、IAEAは、ナタンツの燃料濃縮工場(FEP)を訪れ、土木工事が続行中であることを観察した。

    A.6 追加的議定書の自主的実施

    23.2006年2月5日以降、イランは、追加的議定書の規定を実施していない。

    A.7.透明性訪問及び話し合い

    24.2004年以来、IAEAは、物理研究センター(PHRC)の行った作業に関連した追加的情報・説明を幾度も求めてきた。PHRCは、ウラン濃縮及び転換活動にも使うことのできる二重用途物質・機器を取得するためにラビサン・シアン(Lavisan-Shian)に設立されたものである(10)。IAEAは、また、これらの品目の取得に関わった個人ら──PHRCの二人の元所長を含む──とのインタビューも要請した。

    25.先に報告したように、IAEAは、2006年2月、PHRCの元所長の一人に会った。彼は、PHRCの所長当時、技術大学の大学教授だった(11)。IAEAは、この大学での使用のために購入されたとされる機器の一部から環境サンプルを採取した。その結果は、現在、評価中であり、イランと話し合われている。イランは、釣り合い試験器、質量分析器、磁石、フッ素取り扱い機器を購入する企てに関連したさらなる説明を提供することに同意したが、IAEAはまだ、そのような説明を受け取っていない。環境サンプリングのために、購入された機器へのさらなるアクセスが必要である。イランは、PHRCのもう一人の元所長へのインタビューを求めるIAEAの要請を拒否し続けている。

    26.2006年1月、イランは、いくつかの他の二重用途物質(高強度アルミニウム、特殊鋼、チタニウム、スペシャル・オイル)を購入するための2000年の動きについての幾分の説明を提供した。イランは、これらの動きについての追加的情報を提供することに同意した。IAEAは、その後、イランからその一部を受け取っている。イランはまた、UCF用の耐腐食鋼、バルブ、フィルターの取得についての情報を提示した。2006年1月、これらのアイテムから環境サンプルが採取されたが、その結果はまだでていない。

    27.これまでに報告されたとおり、2006年2月に保障措置局担当事務次長が次のような項目に関連してなされたとされる研究についてイランの当局関係者と話し合うために会った。すなわち、いわゆるグリーン・ソールト・プロジェクト、高性能爆薬実験、ミサイル再突入体設計である。これらはすべて、軍事的側面を持ちうるものであり、また、行政的相互関連を持っているようである(12)。

    28.Gov/2006/15で示されたとおり、イランは、グリーン・ソールト・プロジェクトに関連した非難は、「偽の捏造された文書に基づくものであり、根拠がない」とし、このようなプロジェクトも研究も存在していないし、存在したこともないと述べている。イランは、国家的努力のすべてがUCFプロジェクトに注ぎ込まれて来たのであり、UF4を生産する技術が既に外国から取得されている時にそのための土着の能力を開発するのは意味をなさないと述べた。しかし、以前にイランが提供した情報によると、グリーン・ソールト・プロジェクトと関係したといわれている企業は、UCFの購入とGchineウラン鉱処理工場の設計及び建設に関わった企業である。

    29.IAEAは、グリーン・ソールト・プロジェクトの関連したこれらの話し合いの中でイランが提供した情報、そして、IAEAが入手できる他の情報を評価しているところである。しかし、イランは、他の高性能爆薬実験やミサイル再突入体設計の問題についてまだ説明していない。

    A.8.停止[訳注:suspension=一時的停止・中断]

    30.2006年1月3日付けの書簡において、イランは、IAEAに対し、2006年1月9日から、「その拡大された自主的で法的拘束力のない停止の一環として停止されていた平和的原子力プログラムのR&D」を再開することを決定したと伝えた(13)。

    31.2006年2月、イランはPFEPにおいて、UF6ガスを1基のP−1遠心分離器に、そして後には、10基からなるカスケード、20基からなるカスケードに供給することによって濃縮実験を始めた。2006年3月、164基からなる一つのカスケードが完成し、UF6を使ったこのカスケードの実験が始まった。2006年4月13日、イランは、IAEAに対し、3.6%の濃縮レベルが達成されたと申告した。2006年4月18日、IAEAは、PFEPにおいてサンプルを採取した。その結果は、その時点では、イランが申告した濃縮レベルを確認するものとなっている。その日、UF6ガスが、また、164基からなるカスケードに供給された。そして、164基からなるカスケードがさらに2つ建設中だった。PFEPにおける濃縮過程は、供給及び取り出しステーションを含め、IAEA保障措置の封じ込め・監視措置によってカバーされている。

    32.2005年11月に始まったUCFにおける現在のウラン転換キャンペーンは、まだ、継続しており、2006年4月に完了する予定である。2005年9月以来、約110トンのUF6がUCFにおいて製造され、そのすべてがIAEAの封じ込め・監視の下に留まっている。

    B.現在の全般的評価(14)

    33.イランがIAEAに申告した核物質はすべて計量管理されている。以前に理事会に報告された少量の他は、IAEAは、イランにおいて未申告の核物質を発見していない。しかし、イランの遠心分離器プログラムの範囲と内容に関してIAEAの知識にギャップが残っている。このため、また、IAEAの知識の他のギャップ──イランの核プログラムにおける軍の役割を含め──のため、IAEAは、イランにおける未申告の核物質及び活動の不在に関して保障を提供しようというその努力において進展を得ることができない。

    34.イランの核プログラムのすべての面に関する明確性を求めるIAEAの3年以上の努力の後でもなお、その知識において現存するギャップは、憂慮される事態であり続けている。この点に関するいかなる進展も、イランによる完全な透明性と積極的協力、保障措置協定及び追加的議定書に規定されている措置を越える透明性を必要としている──IAEAがイランによる20年間に渡る未申告の核活動を完全に理解できるようになるとするなら。イランは、保障措置協定の実施に協力しており、また、2006年2月までは、追加的議定書が発効しているかのごとく自発的に行動していた。2006年2月まで、イランはまた、IAEAが要請したいくつかの透明性措置に──一定の軍事サイトへのアクセスも含め──同意していた。しかし、追加的透明性措置が──文書、二重用途機器及び関係者らへのアクセスなど──IAEAにとって、イランの濃縮プログラム、PHRCによって購入された二重用途機器及び物質の目的と使用、それに、軍事的核の面を持ち得るとされる研究の範囲と性質について検証することができるようになるには必要である。

    35.遺憾なことに、これらの透明性措置は、まだ、積極的にとられていない。追加的議定書の規定の実施を中止し、保障措置協定の実施のIAEAによる検証は継続するとのイランの決定により、これらの問題の解明における進展を達成し、未申告の核物質及び活動の不在を確認するためのIAEAの能力は、さらに限定的となり、核物質を伴わない活動(レーザー・アイソトープ分離の研究や、核燃料サイクルのセンシティブな構成部分の製造など)へのIAEAのアクセスは制限されるだろう(15)。

    36.IAEAの保障措置活動の結果は、理事会がイランに対してとるように要請している信頼醸成措置の性質と範囲に影響を与えるかもしれないが、保障措置の義務と信頼醸成措置は、異なる別個のものであり、相互に交換できるものではないいう点に留意することが重要である。信頼醸成措置の実施は、保障措置を常に完全に実施することの代わりにはならない。この文脈において、イランのケースにおけるIAEAの保障措置の判断・結論は、他のすべてのケースにおいてと同様、IAEAが入手できる検証可能な情報に基づくものであり、従って、必然的に、過去及び現在の核関連活動に限定される。IAEAは、将来の遵守又は意図についての判断をしたり、結論に至ることはできない。

    37.IAEAは、イランの核活動に関連したすべての未解決の問題についての調査を続け、事務局長は、適宜、報告し続ける。


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