核情報

2006.3.10

ウランとプルトニウムの混合酸化物のIAEA保障措置上の扱い

4.16 混合酸化物(Mixed oxide, MOX)
──熱中性子炉でプルトニウムのリサイクリング(「サーマル・リサイクリング」)及び高速炉のための原子炉燃料として用いられるウランとプルトニウムの酸化物の混合物。MOXは特殊核分裂性物質(4.5参照)及び直接利用核物質(4.25参照)と見なされる。
4.25 直接利用核物質
──核変換又はそれ以上の濃縮なしに核爆発装置の製造に用いることのできる核物質。この物質には238Pu含有量が80%未満のプルトニウム、高濃縮ウラン及び233Uが含まれる。直接利用核物質の化合物、混合物(例えば、混合酸化物(MOX))並びに使用済核燃料中のプルトニウムがこの区分に入る。未照射の直接利用核物質は、相当量の核分裂生成物を含まない直接利用核物質である。この物質は、核爆発装置の構成要素に転換するために必要な時間及び業務量が、相当量の核分裂生成物を含んでいる照射済直接利用核物質(例えば使用済原子炉燃料中のプルトニウム)よりも少なくてすむことになる。
3.13 転換時間
──異なった形態の核物質を核爆発装置の金属構成要素に転換するのに必要な時間。転換時間には、転用物質を転換施設に輸送する時間、又はその装置の組立に要する時間、あるいはその後に要するいかなる時間も含まれていない。その転用活動は、少なくとも、1個の核爆発装置を製造するまでは発見される危険性を最小にして、1個以上の核爆発装置の製造に成功することに高い確率を与えるように選ばれた一連の計画行動の一部と見なされる。これらの前提に基づいて、現在適用可能とされている転換時間を表Iに示す。
表I 完成したUまたはPu金属構成要素への推定物質転換時間
最初の物質の形態転換時間
Pu,HEU又は233U金属日のオーダー(7−10日)
PuO2, Pu(NO3)4又はその他の純粋なPu化合物;
HEU又は233U酸化物又はその他の純粋なU化合物、
MOX又は、Pu, U(233U+235U≧20%)を含む
その他の未照射混合物、
スクラップその他の種々の不純化合物中のPu,
HEU及び/又は233U
週のオーダー(1−3週間)a
照射済燃料中Pu, HEU又は233U月のオーダー(1−3ヶ月)
233U 235U含有量が20%未満のU、Th1年のオーダー

a この範囲はいかなる単一の因子によっても決まらない、ただし純粋のPu及びU化合物ではこの範囲の下端に、そして混合物及びスクラップは上端の方に位置する傾向がある。

3.14 有意量(Significant quantity, SQ)
──1個の核爆発装置が製造される可能性を排除できない核物質のおおよその量。有意量では転換及び製造工程で避けることのできない損失が考慮されており、臨界質量と混同してはならない。有意量は、IAEA査察目標の量的要素(3.23参照)を確定するのに用いられる。現在用いられている有意量の値を表IIに示す。
表II. 有意量
物質SQ
直接利用核物質
Pu a8kg Pu
233U8kg 233U
HEU(235U≧20%)25kg 235U
間接利用核物質
U(235U<20%) b75kg235U
(又は10t天然U
又は20t劣化U
Th20t Th

a 238Pu含有量が80%未満のPu。
b 低濃縮、天然及び劣化ウランを含む。

出典:

IAEA保障措置用語集 [2001年版]
財団法人 核物質管理センター
平成17年8月発行
IAEA Safeguards Glossary(pdf)


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