核情報

2009.1.11

核兵器用核物質生産禁止条約(FMCT)(カットオフ条約)

核兵器用の核分裂性物質(プルトニウムおよび高濃縮ウラン)の製造を禁止する条約

1993年の国連総会でクリントン大統領の提案に基づき、核兵器用核物質生産禁止条約(FMCT)の交渉開始を求める決議が採択された。翌年、ジュネーブの軍縮会議(CD)で、カナダのジェラルド・シャノン大使がFMCTの特別コーディネーターに指名され協議開始。1995年にNPTの無期限延長が決められた際に、採択された『核不拡散および軍縮の原則と目標』は、核軍縮の義務を定めたNPT六条の履行に関する重要な三つの要素のひとつとして、FMCT交渉の開始・早期締結を挙げている(後の二つは、CTBTの早期締結、核廃絶を究極的目標とした削減の努力および全面的かつ完全な軍縮)。

しかし、既存の核分裂性物質のストックの取り扱いや検証措置をめぐる意見の相違、それに、コンセンサスによる決定を必要とするCD全体の機能停止状態のために、状況は進展していない。

さらに、2004年には、それまで検証可能な条約の締結を唱えてきた米国が、効果的な検証措置は受け入れ国の安全保障を脅かすことになったり、高くつきすぎたりするとして、検証措置のないFMCTを提唱し、そんなFMCTは価値がないとする国々の反対にあって、事態はさらに複雑になっている。米露英仏は公式に核兵器用核分裂性物質の生産を停止したと宣言しているし、中国も生産を停止したと報じられている。しかし、印パ両国はその生産を続けている(イスラエルの生産状態は不明)。

参考


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