10月13日に参議院会館で開かれた報告会で、フランス在住のドイツ人エネルギー問題専門家のマイケル・シュナイダー氏は、米・仏・独の現状の分析に基づき、両方を推進しようとするのは虻蜂取らずとなり、不可能だと論じました。
世界各国で再生エネルギー部門が飛躍的な伸びを示していることを説明した氏は、技術に関して「日本は、何十年も最先端を行っていた。その日本が、エネルギー部門で起きている根本的に決定的な発展状況において置いてきぼりとなっている・・・日本はどこにいるのか」と国会議員らに問いかけました。
氏が用意したパワーポイント資料(英文pdf、4.7MB)全体と当日実際に使われたものの日本語訳(pdf, 1.9MB・下に簡易表示)とを載せました。なお、当日の講演を再現した記事が岩波書店の『世界』2011年1月号(2010年12月8日発売)に掲載されます。
注:
上のプレゼンテーションの14/39のグラフは、Dr. John Blackburn, Solar and Nuclear Costs - The Historic Crossover の3ページから取ったものだが、この文書のアペンディックスAに計算の前提について、次のような説明がある。
1キロワット時当たりのネット・コストの算出においては、連邦政府の30%の税額控除、ノース・カロライナ州の35%税額控除を資本コストに適用した。[資本コストが1万8000ドルの場合、税額控除が無ければ、35.0セント/kWh となるが]連邦政府及び州の税額控除30%及び35%を適用すると、ネットのシステムコストは8190ドルとなり、ネットの発電コストは15.9セント/kWhとなる。
[つまり、納税責任額から控除額を差し引くことができるので、システムのコストは、実際には、18,000 X 0.7 X 0.65 = 8,190となる。発電コストは、35.0 X (8,190 / 18,000) = 15.9 となるということ]
出典 Solar and Nuclear Costs - The Historic Crossover - A Report by Dr. John Blackburn- July 8th, 2010 ─ Full Report
●報告会案内のチラシから
◎講師紹介
マイケル・シュナイダー Mycle Schneider
1983年、WISE-Paris(エネルギー情報調査室)を設立。2003年まで代表。現在、Mycle Schneider Consulting (エネルギーと原子力政策に関する独立コンサルタント機関)の代表を務める。ドイツ連邦環境・自然保護・原子炉安全省の委託研究、「世界の原子力産業現状報告--経済性問題に焦点」を担当(2009年8月)。1997年以来、フランス及びドイツの環境省、ベルギーのエネルギー大臣、国際原子力機関(IAEA)、グリーンピース、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)、WWF、欧州委員会、ヨーロッパ議会の科学技術選択査定パネル、フランスの放射線防護及び原子力安全性研究所等の依頼によって、原子力とエネルギー問題に関する研究・調査報告を提出している。1997年、高木仁三郎氏と共に、「もうひとつのノーベル賞」といわれるライト・ライブリフッド賞(Right Livelihood Award)(スウェーデン)を受賞。
◎共催
●当日配られた資料
- 2009年世界の原子力産業現状報告:経済性問題に焦点(ドイツ連邦環境・自然保護・原子炉安全省委託研究)pdf(プロジェクト・コーディネーター:マイケル・シュナイダー)
●講演の中で出てくる関連資料(英文)
- Matching Utility Loads with Solar and Wind Power in North Carolina: Dealing with Intermittent Electricity Sources by John Blackburn, Ph.D.
- Solar and Nuclear Costs ―The Historic Crossover By John O. Blackburn, PhD (要約版)
- Fixing the Carbon Problem Without Breaking the Economy by John W. Rowe, Chairman and CEO, Exelon Corporation, May 12, 2010 (パワーポイント資料 pdf)、(スピーチ原稿)