核情報

2006.9.12

原子力予算要求、9.4%の伸び──再処理・高速増殖炉推進

第35回原子力委員会定例会議(9月5日)に提出された資料 (pdf)によると2007年度原子力関係経費概算要求額(速報値)は、4831億5500万円で、今年度予算と比べ9.4%という大きな伸びを示しています。これは、総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)電気事業分科会の原子力部会が8月に正式にまとめた『原子力立国計画』の考えを反映したものといえます。要求は、また、『計画』に従い、再処理・高速増殖炉を推進する内容となっています。

高速増殖炉関係では、文部科学省が400億円(30億増額)、経済産業省が40億円(新規)を要求しています。経産省の40億円は、「高速増殖炉(FBR)サイクル実用化戦略調査研究フェーズ II」が今年3月に終わり、実用化に向けた「研究開発」段階に入るということで要求されたものです。実証炉の2025年頃までの実現、商業炉の2050年よりも前の操業開始という『原子力立国計画』の「夢」に沿った予算です。文科省の実用化研究開発用要求額は95億円です。この合計135億円の要求には、第2再処理工場関連の技術開発も含まれます。1995年にナトリウム漏れ火災事故を起こして現在改造工事中の高速増殖原型炉「もんじゅ」(文部省要求179億円)や高速実験炉「常陽」(同38億円)の予算はこれとは別です。

以下、経産・文科両省の概算要求の内容を両省の資料から抜粋してまとめました。

(同じ経産省の文書でも、項目によっては記載場所が異なっているなど、細かい点では比較が難しくなっています。)

  1. 2007年度原子力関係経費概算要求額
  2. 経済産業省・文部科学省の原子力関連概算要求要約
  3. 高速増殖炉(FBR)サイクル関連予算
  4. 経産省原子力関連予算要約1(簡略版)
  5. 経産省原子力関連予算要約2(詳細版)
  6. ウラン資源確保関連資料

参考:

・各省庁合計

・経産省

・文部科学省

・経済産業・文部科学両省

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2007年度原子力関係経費概算要求額

単位:100万円

2007年度
概算要求
2006年度
予算
対前年度増対前年比
文部科学省285,481267,47118,010106.7%
経済産業省185,713163,14122,572113.8%
その他11,96110,9471,014109.3%
合計483,155441,55941,595109.4%

平成19年度原子力関係経費概算要求額総表(速報値)(31KB) (pdf)より

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経済産業省・文部科学省の原子力関連概算要求要約

(括弧内は2006年度予算額)

経済産業省1900億円(1677億円)
文部科学省2855億円(2675億円)
合計4755億円(4374億円)

*上は両省のサイトに出された文書の数字

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高速増殖炉(FBR)サイクル関連予算

 括弧内は2006年度予算

文部科学省401億円(368億円)(※), (※2)
経済産業省40億円( 新規)

 ◎内訳

  1. 「高速増殖炉サイクル実用化研究開発」の創設
       135億円(26億円)(※),(※2)(文部科学省、経済産業省)
         文部科学省 95億円(26億円)
         経済産業省 40億円(新規)
  2. 高速増殖原型炉「もんじゅ」
       179億円(220億円)(※)(文部科学省)
  3. 高速実験炉「常陽」
        38億円( 29億円)(※)(文部科学省)
  4. MOX 燃料製造技術開発 
        49億円( 46億円)(※)(文部科学省)
        *常陽・もんじゅ用
  5. 原子力システム研究開発
        55億円( 63億円)(文部科学省)

平成19年度概算要求による高速増殖炉(FBR)サイクル関連予算について (pdf)より要約抜粋

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経産省原子力関連予算要約1(簡略版)

(単位:億円 括弧内は2006年度)

原子力立国計画【1900(1677)】


説明


原子力立国計画【1900(1677)】

2030年以降においても、発電電力量に占める原子力発電の比率を30〜40%程度以上とすることを目指し、次世代軽水炉開発や人材育成、ウラン資源自主開発の推進の強化等を行うとともに、高速増殖炉サイクルの早期実用化への円滑な移行に向けた研究開発側と導入側の一体的取組、核燃料サイクルの着実な推進に向けた個別立地対策、広聴・広報活動や関連産業の強化、放射性廃棄物対策等を推進する。耐震安全性の確保など、原子力の安全に関する取組を進める。

資料6−1: 平成19年度資源エネルギー関係概算要求について (pdf)より抜粋

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経産省原子力関連予算要約2(詳細版)

原子力立国計画【1900(1677)】

2030年以降においても、発電電力量に占める原子力発電の比率を30〜40%程度以上とすることを目指し、次世代軽水炉開発や人材育成、ウラン資源自主開発の推進の強化等を行うとともに、高速増殖炉サイクルの早期実用化への円滑な移行に向けた研究開発側と導入側の一体的取組、核燃料サイクルの着実な推進に向けた個別立地対策、広聴・広報活動や関連産業の強化、放射性廃棄物対策等を推進する。

また、耐震安全性の確保など、原子力の安全に関する取組を進める。

●高速増殖炉(FBR)サイクル、核燃料サイクル等の技術開発、ウラン資源確保、人材育成等

●原子力安全・防災・核物質防護対策の確実な推進

●原子力発電施設等と地域との共生の実現

資料6−2: 平成19年度資源エネルギー関係概算要求の概要 (pdf)より

さらに詳しくは:

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ウラン資源確保関連資料

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