54.日本政府は、非核兵器国への核攻撃禁止(消極的安全保証)を本当に支持するのか?(05/25 15:59)


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政府、「基本的支持」の意味を問う辻元議員の質問に回答拒否

日本は、今年五月にニューヨークで開かれた核不拡散条約(NPT)再検討会議第3準備委員会において昨年と同じく、核兵器を持たない国には核攻撃をかけないことを核兵器国が保証する「消極的安全保証(NSA)」の考えを「基本的に」支持すると述べました。「基本的に」の意味を問う社民党の辻元清美議員の質問に対し、政府は、5月22日、核兵器国間での見解の一致がないから答えられないと回答しました。

樽井澄夫軍縮代表部大使は、準備委員会での演説(5月7日)で、日本は一九七〇年にNPTに署名した際に、核兵器国は非核兵器国に対し核兵器の使用及び使用の威嚇をすべきでないと述べたと説明し、日本が「消極的安全保証」の考え方を先頭に立って推進してきたかのような印象を与えています。そして、その立場に変更はなく、日本は「消極的安全保証」の考えを基本的に支持すると述べました。

ところが、通常兵器や化学・生物兵器による攻撃に対しても核で報復する可能性を米国が保つことがそのような攻撃を抑止することになるとの立場を採っており、それは国会答弁などで繰り返し表明されています。

これは、非核兵器国が、通常兵器や化学・生物兵器による攻撃を日本にかけたとき、米国が核兵器で報復する可能性を保っておいて欲しいと望んでいることを意味し、消極的安全保証支持の立場と矛盾します。

実際、1999年に日本が法的拘束力を持つ消極的安全保証の文書の締結を支持するパラグラフに賛成票を投じたことに関し、外務省の担当者は社民党に対し、このパラグラフには生物・化学兵器のことは何も書いていないから、これらの兵器による攻撃に対して核で応じないことを約束することに日本が同意したということではないと説明していました。

質問(全文)は、これらの事実を背景に、「基本的支持」の意味について質し、日本政府が支持できない「消極的安全保証」の文言があればこれを明示するようにと説明を求めたものです。

これに対する日本政府の2009年5月二二日付け回答は、次のようなものでした。

1から3までについて

 政府としては、消極的安全保証について、非核兵器国に対して核を使用しないという考え方は基本的に支持し得るものと考えているが、これを供与するのは核兵器国であり、この供与の在り方等について現時点では核兵器国間での見解の一致がみられていないと承知しており、お尋ねについてお答えすることは困難である。

問われているのは、日本政府の考え方であって、核兵器国の立場ではありません。要するに、表舞台での演説では核廃絶を推進しているかのような印象を与えながら、中身については、別の立場からの交渉を行うつもりだということでしょうか。いろいろな場で政府の説明を求める必要があるでしょう。

注:

*消極的安全保証

 一般的には消極的安全保障という訳語が使われるが、非核兵器国に対しては核を使わないと確約し「安全を保証する」と言う意味で、安全保証の方が訳としては「正しい」。外務省も安全保証の方を使用している。

参考 





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